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フロアコーティングについてのご意見

いまや働く女性が多数派の時代。
でも、家事をさぼるパパが多いため、ママはあいかわらず「仕事も家庭も」という十九世紀的二重労働をよぎなくされている。 働くママは家事を短時間で勝負するつきやないのだ。
キッチンの設備や機械たちに不思議な人格を感じてしまったのは、数年前、あの小説を読んでからだった。 〈私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う〉…Yの『キッチン」である。
小説の舞台は書斎でも寝室でもない。 数寄屋造りのお座敷でもない。
〈本当につかれはてた時、私はよくうっとりと思う。 いつか死ぬ時がきたら、台所で息絶えたい〉〈台所なら、キッチン愛いいなと思う〉。
台所に身を焦がす二十代の作家のエクスタシー。 このキッチン愛はどこから来たものなんだろう?ぼくは、深夜のキッチンで缶ビールをあけながら、ステンレスシンクとガスレンジと電気冷蔵庫を相手に考えてみる。
「家の入り口は玄関だと思っている人が多いが、本当はそうじゃない」ステンレスシンクがそういった。 彼は、キッチンこそ家の入り口だというのである。「考えてもみろ、〈人間は一本の管である〉という説があるけど、人の体内を通過する有機物はみんな真っ先にキッチンヘやってくるじゃないか」「出口は、むろんトイレだ」と冷蔵庫が重々しくうなずいた。

「電気や水道やガスの流れがキッチンにつながっているように」とガスレンジが補足した。 「町から来る肉や魚や大根やタマネギの流れも、キッチンに配管されてるんだ」「そうさ、キッチンは住宅の中の”川上“なんだ。
キッチン愛の小説がベストセラ‐になったのもの」と、またシンク。 「人が川の上流にたたずんで物思うようになってきたからだ」。
だったら、いっそ洗濯も料理も同じ場所で同時進行、そんなワケで、洗濯機は洗面脱衣室から飛び出して、キッチンヘどんどん近づきたがっているのである。 逃げろ、洗濯機!キッチンの中で、“流し“と“レンジ“と“冷蔵庫“の位置関係は正三角形に近いほど働きやすいとされている。
これを「論鋒峨二隊形」というが、これに“洗濯機“を加えた「黄金の四角形」が家事動線のベストといわれる日が確実に近づいている。 シンクはJRの〈ロングゴーンロンサムブルーズ〉を裏声で歌いだした。
おいらは川の岸で魚をながめてた。 だけど、魚なんて見にきたんじゃなアァァいのさ。

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